バリ島の独自の宗教・バリヒンドゥー教とは
バリ島に行くと、どこにでも神々の姿を見ることができます。道端に置かれたお供え物、家や店の入り口にある小さな祠、田んぼや森の中に建つ寺院など、バリ島は神々が住む島と言っても過言ではありません。しかし、その信仰はインドネシア国内でも特異なもので、インドから伝わったヒンドゥー教や仏教と、もともとインドネシアで信仰されていた土着宗教が融合されてできたバリ島独自の宗教です。
この宗教を「バリ・ヒンドゥー」と呼びますが、本家インドのヒンドゥー教とはかなり異なります。例えば、インドでは厳格なカースト制度がありますが、バリ・ヒンドゥーではカーストはあまり重要視されず、不可触民も存在しません。また、インドでは牛は聖なる動物として扱われますが、バリ・ヒンドゥーでは牛肉を食べることもあります。
バリ・ヒンドゥーでは、「サン・ヒャン・ウィディ」という唯一神を最高神として信仰しますが、「ブラフマ」「シヴァ」「ヴィシュヌ」など多数の神々も崇められています。これらの神々はサン・ヒャン・ウィディのさまざまな現われであり、「三身一体」と呼ばれる場合もあります3。また、「善」と「悪」、「生」と「死」、「男」と「女」などすべての物事は相反する二つの要素から成り立ち3、「二元論」と呼ばれる考え方が根底にあります。
私は以前、バリ島でプダンダ(最高司祭)に会う機会がありました。彼は白い服装で清潔感がありましたが4、決して高慢ではなく親しみやすい人柄でした。彼は毎朝太陽を拝み、聖水を作って人々に与えることで、自分自身や社会全体を浄化する役割を果たしていました。彼から聖水を受け取った時に感じた清涼感や安心感は今でも忘れられません。
バリ島の人々の暮らしに欠かせないウク暦とサカ暦
日本ではグレゴリオ暦(西暦)だけで生活していますが,バリ島では二つの暦を使っています。一つはウク暦という210日で一年とする独特のカレンダーで、もともとは古代ジャワで使われていたものです。もう一つはサカ暦という太陰・太陽暦で、インドから伝わったものです。
ウク暦は非常に複雑な仕組みになっています。10種類ある週が同時進行しており、それぞれに曜日名があります。例えば、三日週(トゥリワラ)にはパサー、ベテン、カジェンという曜日がありますが、五日週(パンチャワラ)にはウマニス、パイング、ポン、ワゲ、クリオンという曜日があります。これらの曜日の組み合わせによって吉凶や行動方針が決まります。
私は以前、バリ島で三日週のカジェンと五日週のクリオンが重なるカジェン・クリオン(Kajeng Kliwon)という特別な日に遭遇しました。この日は悪霊が徘徊する危険な日だそうで,家や店先に黒い布や鏡を飾ったり,大きな音を立てたりして悪霊を追い払うそうです4。私も道端で売られていたお守りを買って身につけました。
サカ暦は月の満ち欠けを基準とした太陰暦ですが,太陽年度に合わせるため,約30か月ごとに閏月(ニュルチャ)が入ります。サカ暦ではニュピ(Nyepi)と呼ばれる新年を祝いますが,この日は静寂の日とされており,外出や労働,煮炊き,食事,電気使用などあらゆる活動が禁止されます。
私は昨年,ニュピ前夜(Ngurupuk)にバリ島へ到着しました.この夜はオゴオゴ(Ogoh-Ogoh)と呼ばれる巨大な悪魔像を担いだ人々が練り歩く祭典が行われます.悪魔像は色鮮やかで恐ろしくも美しく見えました.この祭典では悪霊や罪穢れを追放することを目的としています.翌朝から始まるニュピでは静寂させることで新しい年度へ向けて心身共に浄化されるそう
バリ島で体験できる多彩な年中行事と通過儀礼
バリ島では、生まれてから死ぬまで、数々の通過儀礼(ウパチャラ)が行われます。これらの儀礼は、人生の節目に神々や祖先の霊に感謝し、身体や心を浄化することを目的としています。また、バリ島ではウク暦とサカ暦という二つの伝統的な暦に基づいて、さまざまな年中行事が行われます。これらの行事は、神々や自然との調和を保ち、豊かな収穫や幸福を願うことを目的としています。
私は以前、バリ島で友人の赤ちゃんが初めて経験する大きな通過儀礼「ウパチャラ(ティガ)ブラン」という特別な日に招待されました。この日は赤ちゃんが別の世界から人間界へ魂が降りてきたとされ、初めて地面に足をつけることが許される日だそうです。この日は赤ちゃんに名前がつけられたり,断髪式や沐浴式が行われたり,金飾りやお供え物で身体を飾ったりします。私も一緒にお祈りしたり,聖水をかけられたり,美味しいご馳走を頂いたりしました。
私はまた,サカ暦の元日にあたるニュピ(静寂の日)も体験しました.この日は外出や労働,煮炊き,食事,電気使用などあらゆる活動が禁止されます.街中の商店や飲食店はもちろん,国際空港までが閉鎖され,観光客もホテルから出ることはできません.ニュピ前夜(ングルプック)にはオゴオゴ(悪魔像)を担いだ人々が練り歩く祭典が行われます.悪霊や罪穢れを追放することを目的としています.翌朝から始まるニュピでは静寂させることで新しい年度へ向けて心身共に浄化されるそうです.
他にもバリ島では多彩な年中行事があります.例えば,祖先の霊を迎えるガルンガン(ウク暦),祖先の霊を天界に送り出すクニンガン(ウク暦),寺院創立記念日オダラン(各寺院ごと),削歯式ポトン・ギギ(成人式),火葬式ナグ・ベイー(葬式)などです。

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